9歳の頃、親に買ってもらった人生初のマイカメラ(MINOLTA HI-MATIC AF2-M)
小学生のときはこのカメラで鉄道写真を。当時も撮影地では一眼レフを使っている鉄道ファンが多く、やや劣等感が。今思えばこのカメラで十分贅沢(親に感謝)



MINOLTA HI-MATIC AF2-Mは、ミノルタが1982年に発売したオートフォーカス(AF)コンパクトフィルムカメラである。1970年代末から始まったコンパクトカメラのAF化競争において、ミノルタが市場に投入した戦略的モデルであり、その後のカメラの自動化・大衆化を大きく前進させた一台として知られる。
このカメラの最大の特徴は、高精度なオートフォーカス機能と、型番の「M」が示すモータードライブの内蔵にある。AFシステムには、赤外線を発光させて被写体までの距離を測定するアクティブ方式を採用した。これにより、暗所や低コントラストの被写体に対しても正確なピント合わせが可能となり、当時のAF技術の中でも高い信頼性を誇った。世界初のAFカメラ「ジャスピンコニカ」に対抗する形で、ミノルタが培ってきた技術力を結集させたシステムである。
搭載されたレンズは「MINOLTA 38mm F2.8」という明るい広角単焦点レンズである。露出制御はプログラムAEであり、カメラがシャッタースピードと絞り値を自動で決定するため、ユーザーは構図とシャッターチャンスに集中できる。
さらに、モータードライブを内蔵したことで、シャッターを押すたびにフィルムが自動で巻き上げられる。これにより、撮影のリズムが格段に向上し、初心者でも手軽に扱える操作性を実現した。デザインは80年代らしい直線的でやや大柄なプラスチックボディであり、機能性を重視した実直な佇まいを持つ。電源には入手が容易な単三電池を使用する点も、利便性を高めている。
MINOLTA HI-MATIC AF2-Mは、AF、自動露出、モータードライブという、現代のデジタルカメラに至る自動化技術の基礎をコンパクトなボディに凝縮したカメラである。写真撮影の技術的なハードルを下げ、誰でも失敗なく写真を楽しめる時代を切り拓いたカメラの一つ。