東京ホタル

「東京ホタル」とは、2012年(平成24年)に東京スカイツリーの開業を記念して開催された、隅田川を舞台にした光のアートイベントである。正式名称は「東京ホタル FESTIVAL 2012」といい、「隅田川にもしホタルがいたなら」というコンセプトを掲げ、都市と自然の共存について考えるきっかけを創出した。

イベントの最大の目玉は、隅田川に約10万個ものLEDの光の玉を放流する「ひかりのシンフォニー」であった。この光の玉は「いのり星®」と名付けられた太陽光蓄電式のLEDモジュールであり、一つひとつが青白い光を放ちながら、ホタルのように瞬く。言問橋~吾妻橋の川面を、無数の光がゆったりと流れていく光景は、開業したばかりの東京スカイツリーのライトアップと相まって、幻想的な水辺の風景を創り出した。この光景は、かつて豊かな自然が広がり、ホタルも生息していたであろう隅田川の原風景を現代に蘇らせ、多くの人々に感動を与えた。

このイベントは、単なるイルミネーションではなく、「すみだ川アートプロジェクト」の一環として企画された。アートを触媒として、地域の歴史や文化、そして環境問題について人々の意識を高めることを目的としていた。江戸時代の人々が川と共に築き上げた循環型の暮らしに学び、現代における都市と自然の新たな関係性を模索するという深いテーマが根底にはあった。

また、環境への配慮も徹底されていた。放流された10万個の「いのり星®」は、イベント終了後に下流に設置された網で全て回収された。これは、美しい景観を創出するだけでなく、自然環境への負荷を最小限に抑えるという、イベントの理念を体現するものであった。

「東京ホタル」は、2013年(平成25年)にも同様の趣旨で開催され、都市における水辺空間の魅力を見つめ直し、環境への意識を高める貴重な機会となった。

東京ホタルの光景写真

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