ドコモタワー(NTTドコモ代々木ビル)

NTTドコモ代々木ビルは、東京都渋谷区千駄ヶ谷に位置する超高層ビルである。「ドコモタワー」の通称で親しまれ、新宿駅南口方面の象徴的なランドマークとなっている。

建物は平成12年(2000年)9月に竣工した。高さは約240mであり、完成当時は東京都庁第一本庁舎に次ぐ高さであった。建設地は、かつて広大な敷地を占めていた国鉄新宿貨物駅の跡地の一部である。1990年代後半からの携帯電話の急速な普及に対応するため、首都圏の通信網を支える重要拠点として建設された。

このビルの最大の特徴は、その特殊な構造と用途にある。建物全体がオフィスビルとして機能しているわけではない。1階から25階あたりまでが主にオフィスや通信設備の機械室として利用され、それより上層部はマイクロ波アンテナをはじめとする通信設備を設置するための巨大な空間となっている。(ビル最上部の赤白部分はアンテナではなく、メンテナンス用クレーン)

いわば、巨大な通信鉄塔をビル型の外壁で覆ったような構造である。このため、一般的な超高層ビルのように展望台やレストラン、商業施設は一切なく、内部は関係者以外立ち入り禁止となっている。その本質は、あくまで携帯電話等の中継基地局としての役割を担う業務用通信ビルである。

デザイン面では、ニューヨークのエンパイアステートビルなどを彷彿とさせるアール・デコ調が採用された。これは、無機質な鉄塔をそのまま露出させるのではなく、新宿副都心の景観と調和させることを意図したものである。地上約210mの高さには直径約15mの大時計が設置され、タワーのシンボルとなっている。夜間はライトアップされ、季節やイベントに応じて色を変え、東京の夜景に彩りを添える。

現在、通信の主流は光ファイバー網に移行したが、ドコモタワーは今なお首都圏のモバイル通信網を支える重要なインフラ施設であり続けている。美しい外観の裏に社会基盤としての重要な役割を秘めた、東京を代表するユニークな建造物である。

ドコモタワー(NTTドコモ代々木ビル)の外観写真
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