ED22 3 – 信濃鉄道 1形3号機 凸型機関車

ED22 3は、昭和2年(1927年)にアメリカで製造された電気機関車である。機械部分はボールドウィン・ロコモティブ・ワークス社(製造番号59378)、電気部分はウェスティングハウス・エレクトリック社が担当した。典型的な大正期のアメリカ製輸入機関車として知られ、中央に運転室を置く凸型の愛嬌あるスタイルが特徴となっている。日本の鉄道近代化の黎明期を支えた貴重な産業遺産の一つとして評価される。

この機関車は、現在のJR大糸線の一部にあたる信濃鉄道が電化開業する際に輸入された3両のうちの1両で、当初は「1形3号機」と称された。

昭和12年(1937年)に信濃鉄道が国有化されると、鉄道省(後の国鉄)に編入され、形式が「ED22形」に改められて「ED22 3」となった。国鉄で使用された後、昭和31年(1956年)に廃車となり、私鉄への払い下げが始まった。まず岳南鉄道へ一時貸出され、その後西武鉄道へ移籍し「A1形A1」として活躍した。

昭和35年(1960年)8月、同機は故郷ともいえる長野県の松本電気鉄道(現・アルピコ交通)へ譲渡された。ここで形式は「ED30形」の「ED301」となり、上高地線の架線電圧(直流750V)に合わせた改造が施された。以降、平成17年(2005年)に除籍されるまで、貨物輸送や冬季の除雪作業などで長年にわたり活躍し、地域の鉄道輸送を支え続けた。

現役引退後は、アルピコ交通の新村車両所にて静態保存されている。地元の有志団体などによって定期的に整備や清掃が行われ、美しい姿を今もとどめている。イベント時には一般公開も行われ、その歴史を今に伝えている。

共に輸入された兄弟機のED22 1、ED22 2もそれぞれ別の場所で現存している。ED22 1は弘南鉄道で「ED22 1」の形式名のまま現在も大鰐線で除雪用として現役で活躍中、ED22 2は三岐鉄道で「ED22 2」として使用された後、現在は西藤原駅構内で静態保存されており、輸入された3両すべてが保存されているという点でも、極めて価値の高い機関車である。

ED22 3 外観写真
新村車両所にて
ED22 3 外観写真
新村車両所にて

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