客船クイーン・エリザベスは、英国の海運会社キュナード・ラインが運航するクルーズ客船である。その名は世界に轟く豪華客船の代名詞であり、本船は輝かしい歴史を受け継ぐ3代目として、平成22年(2010年)に竣工した。
全長294m、総トン数90,901トンという威容を誇る。船内は、初代クイーン・エリザベスが活躍した1930年代の華やかなアール・デコ様式を基調としたデザインで統一されている。木をふんだんに使った内装や、豪華なシャンデリア、落ち着いた雰囲気のライブラリーなど、古き良き英国の伝統と格式を現代に伝える空間が広がる。乗客は、優雅な船旅の中で、質の高いサービスと洗練された英国文化を体験することができる。
日本でも極めて人気の高い客船であり、特に横浜港への寄港は毎回大きな注目を集める。象徴的な出来事として、横浜ベイブリッジの通過が挙げられる。船体の中央楼頂部までの高さが56.6mある本船は、通常では桁下高55mのベイブリッジを通過できない。しかし、干潮の時間を狙い、さらに船底のバラストタンクに海水を満たして船体を意図的に沈めるという特別な手法を用いることで、見事にブリッジをくぐり抜け、横浜港大さん橋への着岸を成功させた。この離れ業は、クルーの高い操船技術と、横浜の港へ寄港したいという強い意志の表れである。
世界一周クルーズの途上で日本へ寄港することが多く、その優美な姿は多くのファンを魅了し続けている。
