湘南モノレール 500形

湘南モノレール500形は、1988年(昭和63年)から2016年(平成28年)まで活躍した懸垂式(サフェージュ式)モノレール車両である。老朽化した300形の置き換えを目的として開発され、約28年間にわたり湘南モノレールの主力として親しまれた。

開発の背景には、省エネルギー、省メンテナンス、乗り心地の向上という大きな目標があった。これを実現するため、当時の最新技術が積極的に導入された。車体製造は三菱重工業が担当し、電装品は三菱電機が提供した。制御方式は抵抗制御が採用され、安全性を高める電気指令式電磁直通空気ブレーキを備えている。また、制動時には発電制動を併用し、滑らかな運転性能を実現した。

車体はアルミニウム合金製で、大幅な軽量化が図られた。これも省エネルギー性能の向上に大きく貢献している。また、台車には空気ばねを本格的に採用した。従来の車両がゴムばねであったのに比べ、走行中の振動や騒音が大幅に低減され、乗り心地は劇的に改善された。急カーブや急勾配が連続する路線特性を持つ湘南モノレールにおいて、この快適性の向上は乗客から高く評価された。

外観デザインは、直線的で角ばった前面形状と、眺望を重視した大きな側窓が特徴である。登場当初から廃車まで、銀色(アルミ地)車体に赤いラインを配したシンプルで洗練されたデザインが採用され、沿線風景に馴染む落ち着いた印象を保ち続けた。1991年まで増備が行われ、全6編成(18両)が製造された。長年にわたる運行の中で、車内案内表示器の設置といったバリアフリー対応の更新も行われた。

300形の置き換えは段階的に進められ、1992年までに完了した。2004年に後継車両である5000系が登場すると、500形は順次置き換えが進められた。5000系では湘南モノレール初のVVVFインバータ制御(IGBT素子)が採用され、さらなる技術革新が図られた。そして2016年6月26日、多くの鉄道ファンや地元住民に惜しまれながらラストランを行い、全編成が営業運転を終了した。

湘南モノレール500形は、抵抗制御と発電制動、アルミ車体、空気ばね台車といった新技術を導入し、路線の近代化とサービス向上に多大な貢献をした車両である。その優れた走行性能と快適性で、四半世紀以上にわたり湘南の空を走り続けた、日本のモノレール史においても重要な名車だと言える。

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