銀座線 01系 – 営団(現・東京メトロ)

帝都高速度交通営団(現・東京メトロ)銀座線01系は、1983年に落成し1984年から営業運転を開始、2017年まで運用された通勤形電車である。開業以来の古い車両が主力だった銀座線のイメージを一新し、近代化を決定づけた画期的な車両として知られる。それまでの銀座線車両は、鋼鉄製の車体を黄色く塗装したいわゆる「黄色い地下鉄」であり、車内は非冷房で、騒音や熱気がこもる等の課題を抱えていた。01系はこれらを解消すべく、当時の最新技術を結集して開発された。

外観における最大の特徴は、アルミ合金製の無塗装車体を採用した点だ。シルバーに輝くメタリックなボディに、銀座線のラインカラーであるオレンジ色の帯を配したデザインは、都会的で洗練された印象を利用者に与えた。前面形状は直線を基調としたシャープなデザインで、機能美を追求している。また、営団地下鉄における2桁形式(01系)を採用した最初の車両であり、後続の「0系シリーズ」の先駆けとなった。

技術面では、省エネルギーと保守の省力化を図るため、高周波分巻チョッパ制御(主チョッパと界磁チョッパを組み合わせた方式)を採用した。銀座線特有の狭いトンネル断面に対応するため、車体長約16メートルの小型車でありながら、部材の薄型化などで車内空間を最大限に確保する工夫が凝らされた。導入当初は非冷房編成が多かったが、後に冷房改造が行われ、薄型の冷房装置を屋根と一体化させることで、銀座線として初めて冷房付き車両を実現した点も特筆すべき功績である。これらの優れた設計が評価され、1985年には鉄道友の会より「ローレル賞」を授与された。

長年にわたり「銀座線の顔」として親しまれたが、老朽化とホームドア導入への対応、およびレトロモダンなデザインを持つ新型車両1000系への置き換えが進み、2017年3月をもって営業運転を終了した。しかし、その系譜が完全に途絶えたわけではない。一部の車両は熊本電気鉄道へ譲渡され、パンタグラフの設置など必要な改造を受けた上で、現在も熊本の地で活躍を続けている。01系は、日本の地下鉄史において、旧態依然とした路線を近代的な都市交通へと変貌させた名車である。

01系と後継1000系 / 渋谷にて
銀座線 車両写真 2046
01系 登場以前の銀座線車両 一例

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